キャリア決済の現金化は法的には違法ではありません。しかし携帯電話会社の利用規約に違反する行為であるため最悪の場合は携帯電話の強制解約、ブラックリスト入りになるリスクがあります。

ここではキャリア決済の違法性についてさらに詳しく解説していきます。
キャリア決済とは、スマートフォンや携帯電話を使って商品を購入し、その代金を携帯料金と一緒に後払いする仕組みです。
このキャリア決済を使って商品を購入し、それを現金化業者に売却して現金を得る行為は「キャリア決済の現金化」と呼ばれています。では、この行為は違法なのでしょうか?
結論として、キャリア決済の現金化は法律上は違法とはされていません。ただし、携帯電話会社の利用規約に違反する可能性があるため、利用には注意が必要です。
なぜキャリア決済現金化は違法にならない?
まず結論から言うと、一般的に行われている大手業者によるキャリア決済の現金化に違法性はありません。
しかし、各携帯電話会社(ドコモ、au、ソフトバンクなど)の利用規約では、キャリア決済を現金化目的で使用することを禁止しています。
これに違反した場合、キャリア決済の利用停止や、最悪の場合は携帯電話の強制解約、ブラックリスト入りのリスクがあります。
よく誤解されがちですが、現金化はキャッシングとは異なり、お金の貸し借りは行われていません。行われているのは、ショッピング枠を活用した商品購入と、その商品の買取のみです。
業者が主に担うのはこの買取の部分で、言ってしまえば一般的なリサイクル業者と変わりはありません。
「カラ決済」と呼ばれるキャッシュバック方式を採用している業者は違法に当たる可能性がありますが、そこにきちんと商品が介在している場合は単なる商行為になるため、違法とはなりません。
キャリア決済現金化は法律的にも問題なし!
まず理解しておきたいのは、キャリア決済現金化業者が行っているのは「お金の貸し借り」ではなく「商品の買い取り」であるという点です。このため、基本的には貸金業法などの金融関連法には抵触しない仕組みになっています。
また、商品の買取を行うには自治体からの「古物商許可」が必要ですが、信頼できる業者であれば、この許可を正式に取得しています。適切な形式で商品の売買が行われていれば、違法と判断される可能性は低いでしょう。
ただし注意すべきなのは、実際に商品がやり取りされていることが前提である点です。もし取引が形式だけの架空売買であれば、法的に問題となる恐れがあるため、十分に注意する必要があります。
各キャリアの利用規約では現金化についてどう定められている?
ドコモ・d払いの利用規約の場合は?
ドコモ・d払いでは、利用規約に以下のような記載があります。
「第14条(本サービスの中断・停止)2.当社は、お客さまが次の各号に該当するときは、本サービスの全部又は一部の利用を停止することがあります。(5)現金等を得る目的で本サービスを利用したとき。」
https://service.smt.docomo.ne.jp/keitai_payment/regulation/site.html
これはドコモ・d払いを本来の買い物としてではなく現金を得るために使用した場合、規約違反にあたるということを表してます。
もし発覚した場合には、すべて、あるいは一部の利用が禁止されます。
auかんたん決済の利用規約の場合は?
auかんたん決済の利用規約には以下の文言があります。
「第1条 (本サービスの内容等)5.本サービスは、代金の支払手段を提供することを目的としたサービスであり、会員は、現金化を目的として本サービスを使用してはならず、また違法な取引に使用してはなりません。」
https://kantan-detail.auone.jp/payment/terms.html
こちらもサービスの目的は代金の支払いであり、現金化、あるいは違法な取り引きに使用してはならないとの記載があります。この場合も、サービスの利用停止などの措置が取られるでしょう。
ソフトバンクまとめて支払いの利用規約の場合は?
ソフトバンクまとめて支払いの利用規約は以下のようなものです。
「第10条(本サービスのご利用)1.お客さまが次のいずれかに該当する場合は、本サービスの全部もしくは一部の提供を停止し、または既にご利用を受け付けたものについても取りやめることがあります。(5)現金類に換金することを目的として対象商品等の購入にご利用可能額を利用していると当社が判断した場合」
https://po.id.my.softbank.jp/static/authagency_pc.html
換金を目的とした商品の購入は、利用規約違反に該当すると明記されています。また、その判断は運営会社側の裁量によるため、十分に注意が必要です。
万が一該当すると判断された場合、サービスの利用停止やアカウント凍結のリスクがあります。さらに、すでに行った決済が取り消される可能性もあるため、利用前には規約をしっかり確認しておくことが大切です。
キャリア決済の現金化でも違法になってしまうケースとは?
キャリア決済を利用した現金化は便利な手段のひとつですが、場合によっては違法と判断されることがあります。
「ちょっとしたお小遣い稼ぎのつもりだったのに…」と後からトラブルになるケースも少なくありません。
そこで今回は、キャリア決済による現金化が違法とされる具体的なケースや、そのリスクについてご紹介します。
詐欺や窃盗などの犯罪行為に利用した
現金化の方法のひとつとして、換金性の高いギフト券を購入し、それを買取業者へ売却する手段があります。これは、個人が商品を購入して売却する形となるため、これまで説明した通り基本的には違法ではありません。ただし、キャリア決済の利用規約に抵触する可能性はあります。
一方で、ギフト券はコードを入力するだけで取引が完了する特性があります。このため、中には使用済みや架空のコードを使って申し込み、不正に現金を得ようとする「空売り」行為が発生することもあります。こうした行為は詐欺罪や窃盗罪に問われる恐れがあり、重大なトラブルに発展しかねないため、十分な注意が必要です。
マネーロンダリングなどの違法行為をした
マネーロンダリングとは、日本語で「資金洗浄」と訳され、犯罪などによって得られた不正な資金の出所を隠すための行為を指します。不正資金をそのまま使えば、資金の流れから警察に出所を特定される可能性があるため、複数の金融機関を経由させたり、商品の売買を装って正当な収入に見せかけるといった手口が使われます。
このように資金の出どころを巧妙に隠す手法は「インテグレーション」とも呼ばれ、現金化サービスとの関わりが指摘されることもあるため、警察の監視対象となっています。実際に、悪質な現金化業者とともに摘発された事例も過去に報告されています。
未成年者が親の同意なしに現金化業者を利用した
現在の日本の法律では、未成年が自身の判断のみでリサイクル業者などに商品を売ることは認められていません。キャリア決済現金化業者も実質的にリサイクル業者と同じ仕組みを持つため、この法律が適用されます。
一般的なリサイクル業者では、親権者の同意または同伴があれば可能ですが、現在ほとんどのキャリア決済現金化業者は手続きの問題もあり、親権者の同意の有無にかかわらず一律で未成年の利用を禁止しています。
キャリア決済が利用停止になるケースとは?
キャリア決済は便利な支払い方法ですが、利用停止になってしまうケースもあります。事前に注意点を確認しておくことで、トラブルを避けることができます。以下に、利用停止となる主なケースをまとめました。
それでは、これらのケースについて詳しく見ていきましょう!
携帯電話の料金を滞納したときには利用停止
キャリア決済の請求は、携帯料金の請求と同時に行われるのが一般的です。もしこの支払い時に、自動引き落としとして指定している口座の残高が足りなければ、料金支払いの遅延となります。一度の警告などにすぐに対応すれば大きな問題にはなりませんが、数回にわたって警告を無視するなどすれば、支払う意思がないと判断され、延滞扱いとなってしまい利用停止になります。
また、キャリア決済の支払いの延滞は信用情報にも記載されるため、延滞するとブラックリスト入りとなってしまいます。
利用金額の限度額いっぱいまで使うと危険
キャリア決済には、あらかじめ限度額が決められています。この限度額までショッピングをしてしまえば、当然それ以上は使えません。ちなみに、d払い・ドコモ払いは19歳以下が月10,000円まで、20歳以上は契約期間によって変わり、最大100,000円までです。
auかんたん決済は、12歳までが1,500円、13~17歳までが10,000円、18~19歳までが20,000円、20歳以上が最大100,000円までです。
ソフトバンクまとめて支払いは、満12歳未満が最大月2,000円、満20歳未満が最大月20,000円、満20歳以上が最大100,000円となっています。
急に高額利用をした場合も危険
キャリア決済現金化において、疑われることの多い行為が、換金性の高い商品の大量購入です。
これまでの購入履歴から不自然に見える高額の商品購入があった場合には、利用が停止されることがあります。これは現金化として疑われる場合もありますが、他人による不正利用や窃盗などによる利用ではないかと疑われることもあるため、本人に確認の連絡が来ることもあります。
現金化の疑いに関しては、専門の業者を利用することで回避することができます。
【まとめ】キャリア決済現金化で違法になってしまうケース
キャリア決済を使った現金化は、直接的に違法とされているわけではありませんが、携帯会社の利用規約では禁止されています。規約違反が発覚した場合、決済サービスの停止や契約解除の可能性があります。
たとえば、ドコモやau、ソフトバンクいずれのキャリアでも、現金化目的の利用は禁止されています。万が一これに違反すると、利用停止のほか、今後のキャリア契約にも影響が出る恐れがあります。
さらに、悪質な業者を通じた現金化では、法的リスクを伴うケースもあるため注意が必要です。規約やリスクを理解した上で、慎重な判断が求められます。

キャリア決済の現金化は手軽に感じられますが、リスクもあるため注意が必要です。利用前に規約をしっかり確認し、トラブルを避けるために慎重に行動しましょう。